「しっかりやっているか?」
「やってます・・・。」
「わからないことがあったら遠慮なく電話して来い。」
「わかりました。では、さようなら。」









薫風にのって2









































昨日はあの後、起こして帰った。その時急に『明日から勉強します。今日みたいな事にならないように、
あ、携帯の番号教えときます。ガンガン電話して来てください。もしかしたら怠ける可能性もありますし。』と言い出した。自分もテスト勉強したかったし、これならの勉強状況も把握できる。きっと彼女も気を使っての物言いだろうし、俺は番号を聞いて送って帰った。
そして、現在に至る。

30分ごとに電話をしている。ちょうど大きな問題を2題解けるようにするためだった。
でも、実は電話にしたことを後悔しはじめていた。
さっきから、のことが気になってばかりいる。勉強に集中できない。
これなら、あいつの家に行って勉強を教えるか、自分の家に呼んで教えるか、あるいは図書館で一緒に
勉強するべきだった。
いや、今からでも遅くない。少し聞いてみるか。俺は再び電話をかけた。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










・・・何回かかけ直してみたが、一向につながらなかった。
何かあったのかもしれない。心配になった。そう思った時には、もうすでに家を飛び出していた。





彼女の家は昨日送っていったため、どこにあるかわかっていた。
彼女の家の前にきて深呼吸をし、チャイムを鳴らす。
・・・応答はない。何度か繰り返してみたが、留守の様だった。
ではどこに行ったのか。親と出かけた、ってことはないだろう。それならきっと俺に電話をしてくるはず。
それに電源をきる必要がない。なら考えられることは絞られてくる。
疑いたくはないが、一番確率的にすることは逃げ出したってことだろう。


ここまできていれば結論は決まっている。捜すしかなかった。
こんな暑い日だから、どこか涼しいところ、・・・デパート。
ここからだと一番近いデパートは、駅前デパート。
俺は走った。
一刻も早く見つけなければ、平均にいかないどころか、他の教科もお粗末な点になりかねない。



















駅前に出るといきなり歓声があがった。
その場所に近づいてみると、そこには、海堂と越前、そして・・・・・・・
がいた。

話しかけようとしたが、逃げだすかもしれないのでチャンスを狙うことにした。

しばらく様子を見ていると海堂をおいかけてが動き出した。そのあとを追った。
















しまった!見失ってしまった。
もうすこし距離をつめてあとをつけるべきだった。
でもそんなに遠いところにいるってことはないはず。もう少し捜してみることにした。

「あれ?手塚。こんなところにいるなんて珍しいな。」
「乾・・・」
捜し歩いていると乾と出会った。
「なにか探し物でもしているのか?」
「ああ、探し物ではなく捜し人なんだが。」
「まさか海堂捜してるって落ちじゃないだろうな。」
「海堂・・・まあ、最終的には海堂のところに行き着くかもしれないが。」
彼女は海堂を追いかけていったから海堂を捜すっていうのも手か。
「海堂はこの先の土手にいるが・・・」
「すまない。」
それを聞いた瞬間俺は走り出した。

「フッ、これはいいデータが取れそうだ。(ニヤリ)」


























土手につくと、海堂との姿が見えた。何やら話をしていたので隠れて様子を伺うことにした。

聞き耳を立てることはよくないが、なぜか聞こうとしまう。

「だいたい、あんたから会いに来てくれれば何の問題もなかったんだよ。同じ学校に来るって聞いた
からそのうち挨拶にでも来るのかなあと思ってたのに来ないし。」
「んな、恥ずかしくて会いに行けるか!ボケ!!」


――――――二人は知りあいだったのか


「ボケ言うたなボケって。私の嫌いな用語集の1つだと知っての発言か!?」
「知ってての発言だとしたらどうだって言うんだ。」
「秘密をばらす。」


――――――海堂にでも秘密なんてものがあるのか(←それは失礼です)


「手塚くんにでも言っちゃおうかなぁ。」
「な、なんで手塚部長のこと知ってるんだ。」


――――――なんで俺の話になっているんだ


「私の今の家庭教師だからねぇ〜♪」
「かてきょって・・・・・、なにも問題なんてないだろうな。」

――――――問題?何の問題だ

「さあ、どうなんだろうね。」
「どうなんって、おまえのことだろうが。」
「手塚くんって笑うとかわいいんだよ。」

――――――・・・・・・・・・・(照)

海堂はいきなりに抱き着いていた。
ビックリして声を出しそうになったが抑えた。

――――――俺は最低だ。人のプライベート覗きこむなんて・・・あとでグラウンド
20周だ

「な、な、な、なななななな!!」
「あいつには渡さない。」
「薫ちゃん・・・。」


――――――・・・・・あいつもグラウンド20周






































次の日俺はを呼び出した。
「あ、あの〜、御用とは何でしょうか。」
おずおずと彼女は言い出した。
「まず最初に、何故昨日はなぜ携帯の電源を切った。」
「・・・・・ごめんなさい。」
「次に、どこへいっていた。」
「・・・・・・・・・・・。」
「最後に・・・いや、これはやめとこう。とにかく夏休み欲しくないとこっちは受け取るぞ。」
はここから去ろうとした俺の腕をつかんで必死になって頼んできた。
「ごめんなさい、本当に。でも今回だけはテストで悲惨な点取るわけにはいかないの。お願い、勉強
教えてください。」
「本気でやる気はあるのか?」
は首を縦に振った。
「わかった。」
俺がそういうとホッとしたのか、さっきまで泣きそうな顔をしていたが急に嬉しそうな顔をした。
「ただし、今度は逃げ出さない様に監視させてもらう。」
「か、監視!?」
彼女はとても驚いていた。まあ、監視と言う言葉が悪かったのかもしれないが・・・
「監視というより、直に教えると言った方が良いのかもしれない。本当は時間があれば図書館で教えて
やりたいところだがこちらも部活がある。だから部活の後、俺の家で一緒に勉強する。」
「手塚君の家で!?」
「もちろん、帰りは送っていくし、差し支えなければ夕食だって用意する。」
彼女はしばらく考える仕草を見せたが、『じゃあ、お願いします。』と頭を下げた。






























































おまけ(?)←3までにあった話

「今日の練習はここまで。」
夕日になり始めそうな頃部活を終えた。
「桃〜、おちび〜、このあと暇だよね〜。」
いきなり二人の首に腕を回した。
「なんっすか英二先輩。」
「実は・・・・・・・」
菊丸は二人に耳打ちをしていた。しばらくして大きな声が部室中に響いた。
まわりに注目を浴びたがそんな事を気にしている場合じゃない。


『今日手塚部長が、女の子を部屋に連れこむ!!!???』


それを聞いちゃあ、返事は決まっている。
「「もちろん行きます!」」

そんなことは知らない手塚は正門で待っていたと並んで帰っていった。

「でも、そんな話どこで・・・」
「俺の情報に間違いはない。」
後ろからいきなり乾が話しかけた。
「乾先輩!」
「ねえねえ乾。手塚って両想いなの?それとも片想い?」
「まあ、それは帰りがてら教えるよ。それより、早く行かないと。」
こうしてこの4人は手塚の後を追うこととなった。
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