月見










本日の仕事が終わり、部屋へと向う。

部屋の前まで来て襖に手を掛けた時、ふと視界に入ったのは、縁側に座り柱に寄りかかっている人物、

斎藤一であった。






「斎藤さん」






近づきながら話しかけても振り返ることなくただ、空を見上げていた。

もつられて見れば、そこには真ん丸い満月が昇っていた。


「月、綺麗ですね」

「・・・ああ」






普段から口数の少なく、いつでも端のほうで皆が騒いでるのを黙って見てたり剣を磨いてたりと、

皆と意思伝達できているのかと不安になるときがある。

そんな彼と一応いい仲、つまり恋人同士なれたのは意思疎通ができたからだけど、こういうこともあり

やはり、今でも不安なのは拭えきれない。

だから、何を話したらいいのか分からず、黙って空を見ていた。







雲一つなく、月が明る過ぎるせいか多分在るであろう月の周りの星は見えない。

そんな月に見入ってると珍しく斎藤から話しかけてきた。






「座らないのか」

「え、あ、じゃあ、隣いいですか?」


構わないとばかりに彼が頷くのを確認し、隣に腰掛ける。


「何してらしたんですか?」

「・・・月を見ていた」

「いや、それは見てて分かりますがそうではなくて・・・」


苦笑いしながら言うと彼が月から私に目線を向けたのでおもわず硬直する。

もしかして苦笑いが癇に障ってしまったのか!?

ずっとこちらを正視され、その思いはつのるばかり。

なんと言ったら良いか分からず、離すことのできない斎藤の目を見てると口が開かれるのを確認した。


「・・・・・・今夜は非番だ」

「・・・はい」

「で、月が出ていた」

「はい」

が一緒に月を見たいと言ったのを思い出した」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・以上、ですか?」

「以上だ」


今の会話を素に考えると斎藤さんは、今夜は非番で私と一緒に月を見る機会ができた。

だからここで待っていた、と解釈が取れるのではないのか。










「もしかして、私を待っていてくれたのですか?」






だから聞かずにはいれなかった。期待せずにはいれなかった。


「嫌だったか」

「嫌なわけないじゃないですか!とても嬉しいです」


にっこり微笑みかけたら照れてしまったのか、目線を外し再び空を見上げた。

そんな斎藤の姿が可愛く見えておもわず腕に抱きついてしまったが拒否されることなく受け止めてくれた。


「今日はやけに大胆だな」

「久しぶりに二人で過ごせるから嬉しくて」

「・・・寂しい思いさせたか?」

「月がありますから大丈夫です」


そうこたえると、斎藤は意味が分からないという素振りを見せる。


「斎藤さんって私の中では月なんです」


満月に目を向けながらこたえる。








「月の周りにある星が隊士さんたちで、すごく輝いているんですけど月には敵わなくて殆ど見えない。

月の輝きは夜道に必要で私は月を求めてしまう。

・・・でも月はすごく孤独で、星のようにはなれなくて。

それでも周りの星たちは月のことを分かっていてくれている。

私は月の全てを分かってるわけではない。でも分かりたいと思う。星たちより分かりたい。

月が、大切な存在だから・・・・・・・」












言い終わると、しばらくの沈黙が訪れた。

どう反応されるのか、言った内容が内容なだけに恥ずかしくて斎藤の顔が見れない。

ただ月を見て、月だけを見て、彼の言葉を待ち続けた。













「俺は、月ではない」












突然、斎藤はを引き離し自分の方へと向かせた。

何が起こったのか。不安になり斎藤の名を呼ぼうと口を開きかけた瞬間、彼に肩を掴まれ引き寄せられ

口を塞がれた。



「んっ・・・・・」


口にあてられた生暖かい感触に酔いしれそうになりおもわず声が漏れる。



名残惜しそうに唇を離し斎藤は言った。


「今、目の前にいるのは誰だ」

「・・・斎藤さんです」

「月ではない」

「・・・・・・」

「俺は月とは違いしゃべるし、月よりもお前のそばにいる。・・・それに」




再び斎藤に引き寄せられ胸の中にすっぽりとおさまる。




「もし月なら、こうやって抱きしめることも出来ない」




違うか?と聞かれれば肯定するしかないが、抱きしめられたり、接吻されたりと行き成りの行動に

頭が付いて行かず、只々顔を赤くし答えることが出来ない。








実を言えば、ただ単に斎藤はあまりにもが月、月というから嫉妬していただけとはきっとこの先

も知ることはないだろう。




















「・・・・・・・いくか」





















突然、斎藤は立ち上がりを持ち上げた。


「え?な、な、な、ななんですか?」


何の前触れもなくお姫様抱っこをされれば当然の反応である。






「俺のこと分かりたいのだろう?」






そう言われ明らかに私の部屋の布団に向ってるのは気のせいだろうか。


もしかして、私、美味しく頂かれる!?



そういう感が否めないであった。














あとがき

ついに新選組に手を出し始めました。しかも、短編苦手なのに気合で打ち込みを。
斎藤さんのキャラがつかめねぇ!っつーかつかめてねぇ!!
しゃべりすぎやで、君。『YOU、しゃっべっちゃいなよ』的ですよ?(ワケ分からん)
ちょっと大河見直そうかな(汗)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送